自分に合った腕振りをマスターしよう
ランニングでの腕振りは重要か
「走る」という行為の中で、「腕振り」はどのくらい重要な役割があるのでしょう。
走る時に、腕を全く振らずに走っている人はほとんどいないのではないかと思います。
という事は「走る」という行為の中で「腕振り」は重要な欠かせない動きなのだと言えるでしょう。
ただ実際にはいろんな方向、大きさで腕振り自体には個人差があり、絶対的なスタンダードがわかりにくいのではないでしょうか。
そこで、腕振りが走る上でどんな役割を担っているかをまず分析し、押さえておきたいポイントを掴んでいきます。その上で自分にあった腕振りに落とし込み、マスターするヒントになればと思います。
役割を知る前に一度ぜひ試してもらいたいことがあります。腕を下に下ろしたまま全く腕振りをせずに走ってみましょう。数秒~10秒ならまだしも1㎞~それ以上を全く腕振り無しで走ることはなかなか難しいでしょう。一体腕振りは何を担っているんでしょうか?。
腕振りの3つの役割
では走るうえでの腕振りの役割を大きく以下の3つ挙げます。いずれも安定した効率の良い走りには欠かせない役割です。普段から無意識にこの役割は達成されていますが、達成度合いは人によってまちまちです。大人になって走り始めたランナーの方は達成度合いが低い方も多いかもしれません。
まずは役割を理解してみましょう。
走りの中で重心バランスを取る役割
走るということは左右の脚を交互に動かす行為になるので、どうしても左右への揺れが生じます。その際腕振りで着地足と反対側の腕を前方向に振ることによって揺れを緩和する作用が働きます。左右の揺れは走りのロスにつながりますので、うまく腕を振ることでスムーズに前方向に進むようになるのです。
逆に言えば走りのブレが大きい人の中には腕振りに課題がある人もいるはずです。
走りのリズムを守る役割
リズムの良い走りはピッチの維持につながり、安定したペースを生みます。長い距離を走る場合どうしても疲労と同時にペースが落ちがちになりますが、その際に腕振りでピッチを維持することも可能です。その時は腕振りが主導となってピッチを遅くならないようにします。
これも逆のことを言えば、腕振りでピッチを維持することができない場合にはペースの急激なダウンにつながる場合も出てくるでしょう。マラソンなどの長距離を走る場合には全身をくまなく利用し、脚だけに頼ることなく腕振りで走りを補うなどのスキルを持つことは大事です。色んな引き出しを持つようにしましょう。
走りの反力を増大させる役割
腕は何気なく人の胴体についていますが、実際単体では片腕5㎏(体重60㎏の人で)のおもりを両側にぶら下げているのです。ぶら下がっているだけなら単なる負荷でしかありませんが、腕振りと着地のタイミングをうまく合わせると着地の反力をうまく利用して推進力に変えることも可能です。
このタイミングは結構簡単なようで難しく、ともすると力みにつながり走りを固くしてしまいます。タイミングをうまく伝えるだけでなく、体幹の安定や上半身の柔軟性も必要になるので試行錯誤が必要になります。
コツは力を伝えようとしすぎて力まないことと、とてもコンパクトな動きで良いと言うことを理解することです。タイミングは一瞬。着地する一瞬前までがポイントです。
腕振りのタイミングに対して解説している下記の動画は、ご存じ為末大さんのyoutube 「為末大学」。為末さんは基本短距離の視点からの解説ですが走りという面では同じです。但し腕振りのパワーを最大に乗せるというより長距離の場合は力まずにタイミングに重点を置くようにしましょう。
腕振りを自分のものにするドリル
肩甲骨の可動域を正常にするドリル
腕振りはあくまで肩周りから先の部分が動くようにしなければなりません。もし肩甲骨が動いてないと腕を振るたびに体幹も一緒に振られ、体も必要以上にねじれてしまいます。そうすると非常に無駄な労力を使うことになります。
腕振りの時は体幹周りが必要以上に振られないようにしましょう。
そのために肩甲骨周りのストレッチドリルをお勧めいたします。
負荷をかけた状態での腕振りで筋力強化
基本的に歩数と同じ数だけ腕を振るわけですから脚と同じく腕も筋力、パワーと持久力をある程度身に着ける必要があります。腕の力をつけるというよりは、負荷をかけた状態でもしっかり腕を振るという練習をすることで、疲労した状態になってからでも腕振りがさらにできるようになるでしょう。
ケンケン、スキップ、バウンディングでの腕振り
上の為末さんの動画でもある通り、一番習得のためにカギとなるのがタイミングです。いくらパワーを付けたり、スピードのある腕振りができるようになったとしてもタイミングがずれていればその効果は半減するでしょう。
そのタイミングは走っている間というよりはドリルで別にトレーニングしていくほうが良いでしょう。実際のランニングの際はあまり考えずに自然にタイミングの精度が上がってくるのが理想です。
あくまで自分の走りに腕振りが合わせられるかが重要です。それぞれが独立してしまわないように、連動が命です。
先ほどの「為末大学」さんでの動画内のスキップのドリルや下の動画のようなドリルを1つか2つ絞って続けてみましょう。おすすめはスキップでのドリルです。タイミングをつかんでいくにはこれが一番良いと思います。その感覚をつかんだらケンケンやバウンディングなどでも応用して着地と腕振りのタイミングを合わせる感覚を磨いていきましょう。
腕振りが自分のものにできればきっとランニングのレベルがまた1段上がっていくことでしょう。ではもう一度腕振りをマスターするために基本として押さえておきたいことを確認します。この前提を押さえておくことで自分にあった腕振りがきっと早く見つかるはずです。
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まず前提として大事な事
力まない
基本は体幹主導、骨盤主導で腕は連動する感じです。腕振りがいくら重要とはいえ、腕を振るだけでは体は前には進んでいきません。あくまで体幹、そしてお尻から足にかけての動きを地面に伝えた反力がベースになります。その動きのバランスを取り、下半身上半身の動きを連動させて、より効率の良い走りを生み出すのが腕振りなのです。
ピッチを維持できる形に腕をまとめる
ピッチを維持するためには、腕振りの可動範囲が大きすぎず、且つ可動の半径も大きすぎないことがポイントです。自分の腕振りの無理のないスピードを把握して、そのスピードでピッチを力まず維持するためには腕をたたんで半径を小さくするか、もしくは可動範囲を大きくしすぎないことです。
腕振りが肩を中心として半円を描く運動だとするなら扇形の角度と半径を調整することである。角度や半径が大きいとピッチに間に合わなくあり、かえって走りのロスが生まれることとなるでしょう。
肩甲骨がしっかり動く状態にしておく
上記の半円を描く事に通じることになるが、円の中心が動いてないと中心がブレて半円がうまく描けないだけでなく、腕以外の場所も付随して動いてしまうため体が必要以上に振られて疲労してしまいます。
肩甲骨の動きは本当に大事です。しっかりケアしましょう。
まとめ
ランニングにおいて腕振りは3つの大きな役割をもつ
・重心バランスを保つ役割
・リズムを維持する役割
・着地反力を増大する役割
腕振りをスムーズに行うためには肩甲骨が動いて肩が体幹と別にしっかり動くこと、そのためのストレッチやドリルを習慣とすること
つねに持っておく心構えは「力まないこと」「肩甲骨が動く状態にしておくこと」
以上です。いかがでしょうか、ランナーの皆様のうでふりの向上と走力アップに少しでも役に立てたらと思っております。
ご評価のほどよろしくお願いいたします。